自己破産の免責

破産手続の一番の目的は破産宣告を受けることではなく、免責の許可決定を得ることです。自己破産手続では、破産手続の開始決定だけでは借金はなくならず、免責許可決定を得てようやく借金を返済する義務がなくなります。

免責は借金をゼロにするものではありません。免責許可を得ても、債務自体は残ったままですが、債務者の返済する責任を免除するというものです。

通常の借金は、債務者が返済しない場合、債権者は裁判所の判決や強制執行などを得て、債務者から強制的に取り立てることができます。

しかし、免責許可を得られると、債権者は強制的に取り立てることができなくなります。これは責任がない債務という状態で「自然債務」といいます。破産手続の免責許可は債務を自然債務にするものなのです。

なので、免責を受けた後でも債務は残っており、債務者が任意に返済した場合、債権者は不当利得を受けたことにならず返還の義務はありません。

非免責債権

自己破産をして免責許可を得た場合、基本的に債務を返済する責任はなくなりますが、免責されない債権も存在します。免責許可が決定されても免責されない破産債権を非免責債権といいます。

非免責債権は、免責があろうとなかろうと返済しなければなりません。非免責債権には、租税等の請求権も含まれているため、住民税などの滞納があっても、かならず支払う必要があります。

非免責債権には、①租税等の請求権の他に、②破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権、③破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権、③民法に規定される夫婦間の協力・扶助義務に係る請求権、婚姻費用分担義務に係る請求権、子の監護義務に係る請求権、扶養義務に係る請求権、その他これらの義務に類する義務で、契約にもとづく請求権、④雇用契約にもとづく使用人の請求権や預り金請求権、⑤破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権、⑥罰金等の請求権があります。

弁護士法人アドバンス